講演「満洲国のグラフィズムと宣伝――板祐生コレクションをもとに」

東京大学大学院情報学環の「戦争とメディア」プロジェクトでは、このほど島根県立大学貴志俊彦先生をお招きして、貴志先生が調査を進めてこられた鳥取県西伯郡の「南部町祐生出会いの館」にある祐生コレクションについてのご報告をしていただきます。「南部町祐生出会いの館」は1995年に開館し、孔版画家・玩具収集家として知られる板祐生(いた・ゆうせい、1889-1956)が収集した郷土玩具、人形、郵便切手、絵葉書、レッテル、ポスター等を所蔵、公開しています。これらは祐生が小学校教師の仕事の傍らコレクター達や好事家グループ(「珍道楽」、「日本我楽多宗」)との交流を通して収集を行ったもので、コレクションの中には、戦地から帰国した教え子から譲り受けたものも含まれていると言われています。本人による収集物に関する詳細な記録が現在も残されています。今回の研究会では、板祐生コレクションの中から満洲国グラフィズム関係資料を中心にご紹介いただき、先生が進められている調査についてお話いただく予定です。
ご報告いただく貴志先生は、アジア近現代史と情報メディアをつなぐ様々な研究を進めてこられ、近年では「戦前期東アジア絵はがきデータベース」など、資料のデジタル・アーカイブ化の研究も積極的に進められています。私どもの「戦争とメディア」プロジェクトでは、私たちが進めてきた第一次世界大戦ポスターコレクションや内閣情報部資料コレクションのアーカイブ化と並行して、全国各地で同様のアーカイブ構築を進めている方々と協力しながら緩やかなネットワークを形成していくことを目指しており、今回、貴志先生が調査された祐生コレクションも、その重要な拠点となるものと考えています。
つきましては、これまで情報学環のさまざまな催しに参加してきてくださった方々に広くご案内申し上げますので、ぜひとも万障お繰り合わせの上、ご参加ください。


吉見俊哉
東京大学大学院情報学環「戦争とメディア」プロジェクト

日 時 2005年11月17日(木)18:30-20:30
場 所 東京大学大学院情報学環・学際情報学府 本館 6Fユビキタス実験室
19:30以降にご来場される場合は、事前にお知らせ下さい。
講 演 貴志俊彦 氏(島根県立大学
http://www.u-shimane.ac.jp/t/t-kishi/
講演タイトル 満洲国のグラフィズムと宣伝――板祐生コレクションをもとに
問い合わせ 東京大学情報学環・学際情報学府 吉見俊哉研究室
備 考 事前申込不要、無料