東京大学社会情報研究所 文化研究プログラム 第3回ワークショップ
テーマ | 徹底検証:ETV2001改竄問題とメディアの現在 |
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共 催 | 文化研究プログラム+メキキ・ネット |
日 時 | 2001年9月13日(木) 17:00-20:00 |
場 所 | 東京大学社会情報研究所 6F会議室(満員の場合は、2階教室を予定) |
問題提起者 | 坂上香さん(元ドキュメンタリー・ジャパン) |
コメンテーター | 野中章弘さん(アジアプレス・インターナショナル代表) |
河かおるさん(メキキ・ネット) | |
司 会 | 吉見俊哉(社会情報研究所)+岩崎稔(東京外国語大学) |
企画趣旨
2001年1月30日にNHK教育テレビで放映されたETV2001の番組「問われる戦時性暴力」は、日本軍による性暴力を人道に対する罪として裁いた2000年12月の女性国際戦犯法廷をつぶさに伝える形で完成された当初の映像内容が、放映直前に大幅に改変されて放送された。すでに新聞・雑誌等の報道で明らかなように、この露骨な「改ざん」の背後には、右翼からの執拗な攻撃と外部政治家からの圧力、そしてNHK上層部から番組制作現場への強硬な介入があったといわれている。実際、現在では、番組の出演者であった高橋哲哉の「何が直前に消されたか」(『世界』2001年5月号)や米山リサの「メディアの公共性と表象の暴力」(『世界』2001年7月号)を通じ、また他の関係者の証言や映像の分析(北原恵「沈黙させられたのは誰か」『インパクション』2001年4月号)などによって、番組のどの部分が、どのような現場への介入によって改変されていったのかがかなり明らかになってきている。
このように状況が明らかになってくると、この問題が今日の公共放送が抱えるきわめて重大な諸問題を集約的に映し出していることがはっきりしてきた。番組の編集権や放送局とプロダクションとの権力関係、公共放送と政治家との癒着、右翼からの様々な攻撃、局内民主主義の不在、公共放送であるにもかかわらず視聴者の知る権利が生かされない仕組みなどから、戦争犯罪や昭和天皇の戦争責任についての語りの隠蔽、ジェンダーの表象、映像のトリックとメディア・リテラシーなど、この問題を通して浮かび上がってくる今日のメディアをめぐる問題はきわめて深刻で、大きい。しかも、このような問題が、これまでNHKのなかでも確実に最も良質な番組作りをしてきた枠である教育テレビのETVにおいて起きたというところが、今日の状況の深刻さを象徴的に物語っている。
このワークショップでは、当時、ドキュメンタリー・ジャパンのディレクターの1人としてこのシリーズの作成にかかわった坂上香さんをお招きし、もともとの番組がどのような問題意識や経緯を経て企画、制作されていったものだったのか、それがどのようにして改変されていってしまったのかを、現時点でお話ししていただける限りで話していただき、これに映像ジャーナリズムの現場からアジアプレス・インターナショナル代表の野中章弘さん、この間の署名運動等の側からメキキ・ネットの河かおるさんにコメントをしていただくことで、今回の問題に典型的に顕れているような日本の公共放送とメディアの危機的状況にいかに介入していくことができるのか、またそのために、大学の研究者と運動家、そしてメディアの現場のジャーナリストがどのように連携していけるのかを真剣に考えていきたい。
現代のメディアの制作現場にこれから真面目にかかわろうとしている社情研研究生、学内外を問わず映像ジャーナリズムやドキュメンタリー、メディア・リテラシーなどのテーマに関心のある大学院生、女性国際戦犯法廷をはじめとする戦争責任と記憶の表象化の問題に関心を持っている大学院生やより多くの方々に、ふるってご参加いただきたいと思います(予約不要)。
ビデオ上映会のお知らせ
まだ、番組を見ていない方や、ワークショップに向けてもう一度映像を確認しておきたいという方のために、下記の要領でビデオの上映会を行います。みなさまふるってご参加ください。
主催 | メキキ・ネット |
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日時 | 2001年9月13日(木)14:00〜 |
会場 | 東京大学社会情報研究所 7F調査室 |
内容 | ・『沈黙の歴史をやぶって−女性国際戦犯法廷の記録』 |
・NHK ETV2001 『シリーズ 戦争をどう裁くか』 | |
第二夜『問われる戦時性暴力』(2001.1.30放送) | |
参考ホームページ | 「メディアの危機を訴える市民ネットワーク」 (略称 MEKIKI-Net メキキ・ネット) http://www.jca.apc.org/~lee/mekiki/index.html |